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感染リスクなしに遠隔地と「味」の情報を共有 明治大学宮下研究室

2020/05/08

 明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科の宮下芳明教授は、任意の味を表現できるディスプレイを開発した。人や飲食物の移動を伴うことなく味の情報のみを伝達するため、感染リスクなく味を共有するなど今後の応用が期待される。

 この味ディスプレイは、基本五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)を感じさせる電解質をそれぞれ溶かして固めた5つのゲルを舌に触れさせる。これらに電気をかけることで、ゲル内部にあるイオンを泳動させ、それぞれのイオンが舌に触れる量を制御することができ、舌が感じる基本五味の割合を自由に調整することができる。

 宮下研究室は、舌を電気的に刺激することで味を生み出す「電気味覚」の研究を推進してきた。これまでも、健康な食事を化学物質なしで満足な美味しさに変えるプロジェクトとして「噛む力で発電して味を作り出すガム」「飲み物の後味を電気刺激で強く長くする手法」などを開発している。今回の味ディスプレイは舌への電気刺激を利用せず、遠隔地にも味を伝え再現することを目的に開発した。

 試作した味ディスプレイのプロトタイプ「Norimaki Synthesizer」に関する論文が公開されたが、宮下教授はその論文に記載されている知見よりもさらに、味の再現性を高め、表現力を向上させる手法について研究を続けている。

論文情報:【Norimaki Synthesizer】Norimaki Synthesizer: Taste Display Using Ion Electrophoresis in Five Gels

参考:明治大学(https://www.meiji.ac.jp/koho/press/6t5h7p0000342664.html)

大学ジャーナルオンライン:https://univ-journal.jp/32116/

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